
「トライバル化」の時代
-揺らぐ民主主義、変容する世界
松尾秀哉(編著)
石川裕一郎/臼井陽一郎/クルト・ドゥブーフ
小松﨑利明/坂部真理/仲淳/橋口豊/堀江孝司/本田宏
溝口修平/森分大輔/柳原克行/渡辺博明(著)
【内容紹介】
人びとの集合的なトラウマが社会における排除や分断、さらには暴動、戦争にまでつながるという「トライバル化」論を用いて、主に現代欧米諸国の政治的混乱を分析し、その概念の有用性と限界を探る。そのうえで、分断を克服し和解に向けた国際制度のあり方についても考察。心理的視点から政治現象の本質へと迫る意欲的な論文集。
【目 次】
序 章 トライバリズム・トライバル化とはなにか(松尾秀哉)
第Ⅰ部 トライバル化という概念
第1章 デモクラシーの危機とトライバル化の諸相(堀江孝司)
はじめに
1 主要な「トライバル化」論とその問題意識
2 トライバル化はどのようにデモクラシーに有害か
3 トライバル化とどう向き合うか
第2章 ナショナリズム・シティズンシップ・トライバル化(森分大輔)
はじめに
1 トライバリズムとナショナリズム
2 大衆のトラウマとメディア
3 「友敵」の論理と自由主義批判
おわりに
第Ⅱ部 トライバル化の様相
第3章 トライバル化抑制装置としてのEU?
─EU懐疑的右派・極右勢力への対応(臼井陽一郎)
はじめに
1 EU政治とトライバル化
2 欧州議会右派・極右三派のイデオロギー
3 トライバル化を抑制するEU
おわりに
第4章 戦争の記憶とブリティッシュ・アイデンティティ(橋口 豊)
はじめに
1 世界大戦の記憶の「再生産」と「帝国意識」
2 「宥和の教訓」と「他者」としてのヨーロッパ
3 ブレグジットとブリティッシュ・アイデンティティ
おわりに
第5章 イスラエルからドイツへ波及するトライバル化(本田 宏)
はじめに
1 集合的アイデンティティ、紛争支持ナラティブ、被害者信念
2 トライブ型ナショナリズムとしてのシオニズム
3 トライバル化 ―アパルトヘイト化と民族至上主義の主流化
4 イスラエル批判の抑圧を通じたドイツのトライバル化
おわりに
第6章 「トライバル化」論とフランス(石川裕一郎)
はじめに
1 フランス社会の「トライバル化」と〈ポピュリズム〉
2 フランス社会の「トライバル化」と〈セキュリティの上昇〉
3 フランス社会の「トライバル化」と〈ライシテ〉
4 フランス社会の「トライバル化」と〈アイデンティティ政治〉
おわりに
第7章 トライバル化する世界と北欧
─スウェーデンのNATO加盟が意味するもの(渡辺博明)
はじめに
1 スウェーデンの安全保障政策
2 スウェーデンのNATO加盟
3 NATO加盟問題と政党政治
4 ロシアとの関係―集合的トラウマ?
5 スウェーデンの政策転換の意義
おわりに
第8章 ワロニーの反逆
─トライバル化における「敵」の存在の意義(松尾秀哉)
はじめに
1 トライバル化のプロセスにおける「敵」の意義
2 ベルギー政治史とワロニー運動
3 ワロニー運動のトライバル化のプロセス
4 考察と結論
第9章 「トライバル化」論はトランプ現象を(どの程度)説明しうるか?
─アメリカにおける「白人のアイデンティティ政治」の漸進的拡大
(坂部真理)
はじめに 181
1 「トライバル化」としてのトランプ2.0
2 9・11後のナショナリズムの変化
―「自由と機会の灯」から「白人中心の国」へ
3 「白人」意識の政治化とそのプロセス
おわりに 2024年大統領選挙
―更なる「トライバル化」と「トランプ連合」の拡大?
〈講演録〉トライバル化、戦争、そしてロシア
(クルト・ドゥブーフ/訳:柳原克行)
第10章 トライバル化とロシアによるウクライナ侵攻(溝口修平)
はじめに
1 「トライバル化」とロシアによるウクライナ侵攻
2 ロシアの脅威認識の変化
3 「トライバル化」が捉えきれない側面
おわりに ―決定論を超えて
第Ⅲ部 トライバルを超えて
第11章 トライバル化を超えて─和解のための国際制度(小松﨑利明)
はじめに 233
1 トライバル化と国際秩序の危機
2 脱トライバル化とトラウマからの回復
3 国際法秩序の限界とトライバル化
4 和解の制度
5 事例分析
おわりに
〈コラム〉トライバル化の向こう側?(仲 淳)
【編著者紹介】(情報は刊行時のものです)
松尾秀哉(まつお・ひでや)
龍谷大学法学部 教授。博士(学術、東京大学)。聖学院大学、北海学園大学を経て2018年より現職。
専門分野:ベルギー政治、ヨーロッパ政治、比較政治学
主な著作:『ベルギーの歴史を知るための50章』(編著、明石書店、2022年)、『ヨーロッパ現代史』(ちくま新書、2019年)、『物語 ベルギーの歴史—ヨーロッパの十字路』(中公新書、2014年)、『ベルギー分裂危機—その政治的起源』(明石書店、2010年)。
【著者紹介】(情報は刊行時のものです)
石川裕一郎(いしかわ・ゆういちろう)
聖学院大学政治経済学部 教授
臼井陽一郎(うすい・よういちろう)
新潟国際情報大学国際学部 教授
クルト・ドゥブーフ(Koert Debeuf)
ブリュッセル自由大学 客員教授
小松﨑利明(こまつざき・としあき)
天理大学国際学部 准教授
坂部真理(さかべ・まり)
大東文化大学法学部 教授
仲 淳(なか・あつし)
天理大学人文学部 教授
橋口 豊(はしぐち ゆたか)
龍谷大学法学部 教授
堀江孝司(ほりえ・たかし)
東京都立大学人文社会学部 教授
本田 宏(ほんだ・ひろし)
北海学園大学法学部 教授
溝口修平(みぞぐち・しゅうへい)
法政大学法学部 教授
森分大輔(もりわけ・だいすけ)
聖学院大学政治経済学部 教授
柳原克行(やなぎはら・かつゆき)
大同大学教養部 教授
渡辺博明(わたなべ・ひろあき)
龍谷大学法学部 教授
